── 法対応だけじゃない、“伝わる”ための設計思想
「アクセシビリティ」と聞くと、「障害のある方のための配慮でしょ?」という印象を持たれるかもしれません。
もちろんそれも大切な要素です。でも本質は、「あらゆる人にとって使いやすく、伝わるWeb」をつくること。
つまり、アクセシビリティとは一部の人のためだけではなく、すべてのユーザーのための設計思想だと、私たちは考えています。
2024年の「改正障害者差別解消法」により、事業者にも“合理的配慮”が義務化されました。
この改正をきっかけに、「アクセシビリティ対応しないとマズいらしい」と感じた方も多いかもしれません。
でも、そこで止まってしまうと本末転倒です。本来アクセシビリティとは、“できる限り多くの人に届ける”ための視点であり、法律はその入口にすぎません。
たとえば──
こうした状況は、誰もが日常で“一時的に当事者になる”可能性があります。
「視認性の高い配色」や「分かりやすいテキストラベル」、「音声読み上げに配慮した構造」など、ちょっとした設計の積み重ねが、“伝わる・使える”を支える土台になります。
Nido.では、アクセシビリティ対応を法的チェック項目としてだけでなく、制作初期の設計思想のひとつとして位置づけています。
“読みやすいか?” “使いやすいか?” “伝わるか?”という視点を、ひとつひとつの制作プロセスの中で自然に取り入れられるよう心がけています。
ただし現実には、デザイン性とアクセシビリティがトレードオフの関係にあるケースも少なくありません。
たとえば、よく好まれるやわらかいパステル調の配色は、PageSpeed Insightsの「ユーザー補助」項目などでチェックすると、コントラスト比が不十分と評価されることが多く、“おしゃれだけど読みにくい”という状況になりやすいのです。
このように、すべてを両立させるのは難しいという現実もあります。
だからこそNido.では「すべてを満点にする」ことよりも、“誰に何をどう伝えるか”という目的に応じて最適なバランスを探るというスタンスを大切にしています。
アクセシビリティは“だれかのため”ではなく、“わたしたち”のための設計です。
誰もが何かしらの制約を抱える場面がある今、「伝える」ことを本気で考えるなら、アクセシビリティは避けて通れません。
だからこそ、法律に対応するだけではなく、“届ける設計”として取り入れる。
それが、Nido.のものづくりのスタンスです。
石川県を拠点に、富山県在住のWeb制作者。東京でも中堅どころの制作会社にて部長・執行役員を歴任後、独立。小規模事業者向けサブスク制作サービス「Nido.Growth」を運営。制作の現場から経営までの実務経験をもとに、Webの設計思想や考え方をお届けしています。